交響曲第1番(Bernard Iberlekeu Tezzler)

Bernard Iberlekeu Tezzler(バーナード伊部瑠玖テズラー)の名前で発表している交響曲第1番(主な調性はハ長調。作曲時期:2013-2018) につきまして、下記のMIDIファイルダウンロードサイト(英文)がわかりにくいというご指摘をいただきました。このBLOGにて、日本語で作曲時の心境、自作の分析を含めて紹介いたします。この曲は、絶対音楽なので、聴き手の方々がどのような情景を思い浮かべても構わないのですが、私の脳裏に浮かんだ情景を知ったほうが曲の理解が容易になるというご意見をいただき、ここに記載する次第です。
また、従来の英文サイトはパソコンへのダウンロードを前提としたもので、2018年時点のスマホ全盛時代には適合しません。英文サイトにあるIEをブラウザにした時の再生用アイコンは、このBLOGでは省略します。また、ダウンロードされるMIDファイルは、Androidスマホでは再生できますが、iPhoneでは再生できませんので、ご承知おきください。楽譜PDFは下記サイトからダウンロードできます。<COMPOSITION COMPLETED PARTS>の下の部分からダウンロード。
 
(*1)
 
第一楽章 (約7分)
提示部
(2022.1.21 追記)提示部 (MP3)
 
展開部・再現部・コーダ
冒頭に現れるハ長調の主題を思いついたのは、2013年3月に地下化直前の小田急下北沢駅周辺を歩き、消え去っていく踏切に哀愁を感じた時の事です。その次にイ短調で現れる悲劇的な主題は、まだサラリーマン時代の出勤時に井の頭通りを歩いた時の心象とか、当時読んでいた本(ブタペストの歴史)の読後感が影響していると思います。そしてハ長調に回帰したゆったりとした主題で盛り上がって(オーケストレーションをすれば打楽器大活躍の部分です)、米国の吹奏楽作品にあるような音階で、反行進行を交えながら、提示部が終結します。長いパウゼの後、ハ長調ト長調に転調して第一主題が現れ、展開部が開始します。そして和風の趣き(ハープを使いたい)も交えながら、やや無調に近い喧噪から、イ短調の主題がト短調に転調して再現され、変ロ長調に転調した次の主題も再現されます。やがてカノン風に消え去り、スペイン舞曲風のコーダーになります。2和音から3和音になる進行ではホルンを使いたいと思っています。主音(ハ)で終結させずに現代的な感覚で終結させたと、私としては思っています。
 
第二楽章 (約6分30秒)
この曲の作曲時期は2つに分かれていて、ABACの構成のうち、Aの部分の主要主題はバスタ新宿のオープン(2016年4月)の時の思い(都心からバスで郊外に脱出の気楽さ、やぶれかぶれ)が影響していると思います。BとCのほとんどは、定年退職後の2018年2月に作曲しており、この交響曲で最後に作曲された部分です。Aの部分に、後で聞いてみると、ベートーヴェン交響曲5番の運命の主題からの一部借用(無意識に)がありました。
中間部であるBは、最初から変ロ短調、4度の音程で書いてみたら印象派風の趣きが出るのでは?と思いつきで書いてみたのですが、少ない音符で味わいが出ているのでは?というのが自分なりの評価です。終結部であるCは、Aの部分の2つめの主題を転調し、ティンパニの低音の鼓動の上で、宇宙との対話のようなイメージで聞いていただければ、私としてはうれしいです。第3楽章との間に長い休止を置いてください。
AとB (MIDI)
(2022.1.12 追記)AとB (MP3)
AとC
(2022.1.21 追記)AとC (MP3)
 
第三楽章 (約5分)
 

レイキャビクの岸辺から眺めた光景
この楽章が、全曲の中で最も日本的と言えるのではないでしょうか?ヤマトタケルゆかりの神社(阿佐ヶ谷)に初めて参詣(それも偶然に)した時に脳裏に浮かんだテーマの変奏曲の形式です。ヤマトタケルの東征の冒険と非業の死を、私としてはイメージします(当時、私はヤマトタケルが通ったであろう東京のいくつかの場所、例えば駒込の神社などを訪れて昔をしのんでいました)。ただし、最初の変奏(この部分が最も主題とかけ離れている)のところは、2016年夏のアイスランド旅行に旅立つ直前に、「アイスランドでこのような曲を演奏する演奏会を聴きたいな」とふと空想して浮かんだイメージです。後で、この部分が「ヤマトタケルの主題」の変奏であることに気が付き、この第3楽章に挿入することとしました。ヤマトタケル(日本の神)の旅は決して孤独な旅ではなく、北欧の神々を友としているというイメージです。この北欧風テーマは、アイスランド旅行時に、レイキャビクのシーサイド遊歩道で下記の写真のような光景を眺めながら、何度も私の頭の中で反芻されたテーマです。第2の変奏に一瞬、ビートルズ「Hard Days Night」が挿入されていることに、後で気が付きました。ついでながら、自作の弦楽4重奏曲Op.1 (2005)には、ベートーヴェン交響曲9番、第4楽章のテーマに影響を受けた部分があります。また、金管重奏曲Op.3 (2008)の第3楽章の主旋律のイメージは、チャイコフスキー交響曲5番第4楽章の主旋律の影響を大きく受けています。このことにも後で気づきました。
(2022.1.21 追記)第3楽章 (MP3)
  
第四楽章 (約9分)
第3楽章の終結部の音程と、第4楽章の冒頭の音程に違和感がないように、という配慮から、この最終楽章の作曲を着手しました。従って、第3楽章と第4楽章をアタッカで結んで演奏しても構いません。冒頭の経過主題から続く主旋律はハを基調とし、最終的な曲の終結音もハですから、第一楽章と音程上の調和が取れたと思っています。これも後で気が付いたことですが、この主旋律からイメージされる(私の脳裏で)は、新訳聖書ヨハネ黙示録の空飛ぶ馬です。ABA'の3部構成で、Bの部分はイ短調で書かれ(川崎市の等々力スタジアムの巨大な建物を見て思いついたイメージ。後になって気が付いたのは、ストラヴィンスキーペトルーシュカからの影響)、Bの終わりのところは私自身の天国のイメージです。A'の終わりのところで主旋律がマエストーソで大きく盛り上がるところに、実は、この天国のイメージの和音が重なって隠されています。最後の終結は、金管楽器総動員で華やかに終わるべき部分ですが、最後のハが鳴ったところで、退場する戦士たちの前に天国の門が開かれたとイメージしてください。その門の先には、誰も語ってはならぬ世界が展開しているような・・・・
A
(2022.1.21 追記)A (MP3)
B
http://bernardsstar.sakura.ne.jp/Sym-Mov4-PART2-complete.MID
(2022.1.21 追記)B (MP3)
A'
(2022.1.21 追記)A' (MP3)

http://bernardsstar.sakura.ne.jp/Sym-Mov4-PART3-complete.MID.mp3


 
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[付記1]
交響曲を作曲してみようという決意に至ったのは、ポーランド語教室の学友で写真家のMさんが経堂で新年に開催していた「本年の抱負」展示会に3回の機会に書いた私の決意(バルカンを探求します、辞書を作ります、交響曲を作曲します)のひとつだったことがきっかけだったわけですから、この場を借りて、御礼申し上げます。
[付記2]
この曲を聴いたイメージとして、ある友人の方から、「ピレネー山脈の僧院」という声をいただきました。大変に嬉かったです。
 
[付記3]Yahoo Geocitiesが2019年3月終了予定に伴い、MIDファイルのリンク先を、さくらインターネットのサーバーに変更(2018.10.4)
 
[付記4] MIDI陳腐化で再生困難になりMP3ファイルを追加(2022.1.12&21)
 
(*1)2019年以降
です。