金管6重奏曲(Brass sextet)Op. 3 (2008)

久しぶりに自作曲紹介サイトのBLOG化。2008年に作曲し、2009年からGeocities (その後、さくらインターネットに移行)に収録した、金管6重奏曲(Brass sextet)Op. 3 (2008)  三楽章形式、約10分です。下記から、MIDIおよび、楽譜(TIFファイル、手書き)をダウンロードできます。MIDIについては、このBLOGからもダウンロードできるようにしました。

http://bernardsstar.sakura.ne.jp/brass6tet.htm

まず、作品3ということですが、弦楽四重奏曲(作品1、2005)との間の作品2がありません。作品2は、それ以外の小品(1999~2008頃)を集めて将来、小編成の作品にしようと考えていて、そのために取っておくナンバーです。

作品1も作品3も、ある作曲コンクールに応募して選外となったものです。交響曲第1番(作品4 2013~2018)以降は、コンクール応募のスケジュールに追われることなく自由に気の赴くままに作曲しています。

金管6重奏曲は、当初、金管5重奏曲とするつもりでしたが、5人による演奏はかなり難しいと思い、途中で6重奏曲にしました。作曲ソフトの音源として実はサックスを使っていますので、サックスでも演奏できると思います。ただし、金管パートは演奏可能な音域をチェックしたうえで作曲していますが、サックスについては音域を確認していません。このような曲を作るのは音域に制約されながら作曲しないといけないので、難しいです。その点、交響曲の作曲のほうが、より複雑ではあるが、低い音は低音楽器に、高い音は高音楽器に割り振ればいいので、楽と言えば楽でした。

 

第1楽章

http://bernardsstar.sakura.ne.jp/brass6tet.MID
http://bernardsstar.sakura.ne.jp/brass6tet1-2.MID
http://bernardsstar.sakura.ne.jp/brass6tet1-3.MID

トロンボーンの独奏で始まる第1主題は、仄暗く、ボロディン交響曲2番の冒頭を連想させるかも知れません。作曲していた当時、主題を発展させる能力が乏しく、すぐに楽観的な第2主題になります。パリの路地の明るさのようなものを表現するつもりでした。展開部は第一主題の暗めの変奏が軍隊行進曲(3拍子ですが)みたいに発展する中で、新しいテーマも飛び出します。テンポが落ちて、2つの楽器がメインで演劇のシーンのような箇所は、後になって、リスト「ファウスト交響曲」第1楽章で第5主題がトランペット独奏で情感を込めて演奏される箇所の影響を受けていることに気づきました。再現部は、「新しいテーマ」の全奏でスタートし、アタッカで第2楽章へと続きます。

第2楽章

http://bernardsstar.sakura.ne.jp/brass6tet2.MID

ラヴェルの「道化師の朝の歌」と、日本の時代劇の音楽が混ざり合った印象です。中間部ではポリフォニックな合奏にチャレンジしたつもりです。

第3楽章
http://bernardsstar.sakura.ne.jp/brass6tet3-1.MID

http://bernardsstar.sakura.ne.jp/brass6tet3-2.MID

http://bernardsstar.sakura.ne.jp/brass6tet3-3.MID

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北欧(グリークとニールセン) 東フィルの「ファウスト交響曲

なぜ、上の写真を貼り付けたかと言うと、東京フィル定演「ファウスト交響曲」は、第1楽章の説明に関連していまして、北欧(グリークとニールセン)は、第3楽章冒頭の説明のためです。冒頭の序奏は北欧(特にノルウェー)の物寂しい波止場をイメージしました。私は、写真のパンフレットのように、北欧音楽(グリーク、シベリウス、ニールセンや、その影響を受けたヴォーンウィリアムス、バックス(英国)、ハンソン(米国)の音楽をとりわけ愛好し、模範としています。第3楽章のメイン主題は、高音の装飾音符のところがユーミンサウンド的かなと思っていましたが、後から考えると、主題自体は、チャイコフスキー交響曲5番の第4楽章のメイン主題の影響とも言えます。メイン主題を引き継ぐ部分は、陳腐な印象を受けるかもしれませんが、これしか思いつきません。チューバの低音はトロンボーンと1オクターブではなく、半音ずらせた、和声法で言う「対斜」を成しています。「対斜」を意図的に取り入れたのではなく、半音ずらせない純粋1オクターブでは違和感があるためにそうしました。「対斜」については後で知りました。言わば、体で覚えた和声法です。中間部は、フーガに挑戦したつもりですが「フーガになっていない」というご指摘を受けるかも知れません。転調した序奏を受けて、転調したメイン主題でA-B-A' のA'(第3部)が開始されます。これも体で覚えた転調技法です。A'がAと同じ調だと、音楽的なまとまりがありません(これについては、交響曲第1番(2013-2018)の第1楽章提示部・再現部についても同じことが言えます)。そして、第3楽章のエンディングは、演奏楽器の数を減らして静かに閉じます。