「ベルリオーズとその時代」 ヴォルフガング・デームリング著

西村書店から、池上純一訳で刊行されている。分厚い、衒学的と言えるほどの知識をさらけ出した本で、全体について感想を述べる余裕はないが、
page 180, 181 のノヴァーリスに関する記載が特に興味深い。

「ハイネにとっては、ノヴァーリスの『ハインリヒ・フォン・オフターディンゲン』こそロマン主義の精華であった。「この小説では、いたるところに青い花が光と芳香を放っている。ひどく現実離れした登場人物たちでさえ、どこかで一度会ったことがあるように思われ、遠い昔に彼らと心の底から打ちとけ合って暮らしたことがあるような気がしてくるのは実に不思議であり、味わい深いものがある。古い記憶が目を覚ます。・・・・しかし、すべてはわれわれの背後に、なかば忘れ去られた夢のように霞んでいる。」

シューマンにとって真に「ロマン主義的なもの」とは、あくまでも「ポエジーの香りのするもの」でなければならなかった。」

「Novalis  本名 Georg Phillip Friedrich Leopold von Hardenberg (1772-1801) は、神秘的な幻想の世界を描いたドイツ初期ロマン主義の代表的詩人。『ハインリヒ・フォン・オフターディンゲン』は、青い花の夢を見て、それをこの世に探し当てるのが自分の使命であると信じた主人公が、旅の途中でいろいろな人に出会い、さまざまな体験を重ねて詩人としての自覚を高めていくという、中世を舞台にした教養小説。」

「「名状しがたい魂の内奥を音によって」表現する「真の」ロマン主義シューマンのいう「繊細なドイツ人」のロマン主義